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【企業法務・顧問弁護士】顧問弁護士との関わり方2

2018年10月15日

前回の投稿「顧問弁護士との関わり方」を書いた後に,懇意にしている経営者の方とお話をしていて,もう一つ大切なことを思い出しました。
顧問弁護士には,「法律に詳しい従業員」としての顔とともに,「社長に対してもNOと言える第三者」としての顔もあります。
弁護士は,たとえ依頼者といえども,法令に違反する行為を容認することはできません。
また,たとえ顧問先の社長であっても,指揮命令を受ける立場にはありませんので,従業員とは異なる独立した立場で意見を述べます。
経営者は,時に孤独です。従業員には相談できない問題や,経営者仲間にも相談しづらい問題もあるでしょう。そういう時に相談できるだけの関係を,顧問弁護士との間で築くことができれば,顧問弁護士はより頼もしい存在になるはずです。
そのためには,顧問弁護士側でも研鑽が必要です。

顧問弁護士との関わり方


【企業法務・顧問弁護士】顧問弁護士との関わり方

2018年10月11日

 先日,新たに顧問契約を締結していただいた不動産会社様を訪問してきました。
 社長以外の従業員の方々とお会いするのは初めてでしたので,ご挨拶をさせていただき,いろいろとお話をさせていただきました。
 今回の企業様は,弁護士と顧問契約をされるのが初めてということで,従業員の方々が,どのように顧問弁護士と関わればよいのかわからないという,大変よいご質問をいただきました。
 これについては,法律に詳しい新しい従業員が増えたと考えてくださいとお答えしました。
業務の中で法律問題に直面した時,よくわからないまま不安な気持ちで対応したり,専門家に聞けば5分で解決する問題のために何時間も費やして調べるのをやめれば,業務のストレスは減り,サービスは向上し,生産性も大幅にアップします。
そのために顧問弁護士がいますので,早めに,気軽に,電話やメールで相談していただきたいと思います。
社長のお人柄か,従業員の皆さんの雰囲気も大変よく,今後ますます発展される企業様と確信しました。顧問弁護士としてしっかり応援して行きたいと思います。

顧問弁護士との関わり方2


【企業法務・労務】問題社員対策・懲戒処分の重要性

2018年9月17日

 経営者からのよくあるご相談の一つとして,「勤務態度の悪い従業員を解雇したところ,弁護士から解雇無効を主張する通知が届いた。」というものがあります。当事務所の顧問先には,そのような解雇はさせませんので,普段お付き合いが無い経営者からのご相談に限られますが。
 このような場合,当該従業員がよほど酷いことをした場合を除き,経営者にとってかなり厳しい交渉とならざるを得ません。
 事情をお聞きすると,従業員に相当問題があり,「それは,ずいぶん我慢しましたね。。。」という場合が大半です。
 しかし,この,「我慢」が問題なのです。
 経営者の我慢は,「よく我慢した」とほめてもらえることは無く,基本的に,「いままで問題視していなかったのに,突然解雇した」と評価されます。
 これを避けるために重要なのが,適切な懲戒処分です。
 懲戒処分には,戒告,けん責,減給,出勤停止,諭旨解雇,懲戒解雇などがあります。
 懲戒処分の内容や,懲戒処分の理由となる懲戒事由は,それぞれの企業の就業規則で定められており,就業規則で定められていない懲戒処分はできません。
 また,定めるだけでなくて,周知(従業員が見たい時に見ることができる状態に置くこと)がされていなければなりません。
 貴社の就業規則にはどのような懲戒事由や懲戒処分が定められているか,また,従業員がいつでも就業規則を見られる状態にあるか確認してください。
 そのうえで,勤務態度に問題があり,懲戒事由に該当する従業員に対しては,我慢せずに,直ちに戒告やけん責など軽い方の処分を下してください。
 比較的悪質性が高い場合には,減給や出勤停止も選択肢です。逆に,懲戒事由に該当するとまでは言えない場合は,書面による厳重注意でも構いません。書面による証拠を残すことが重要です。
 横領など犯罪に該当するような場合は別ですが,解雇は,以上のような軽い懲戒処分を重ねても改善されない場合に行うものと考えておくのが無難です。
 問題がある従業員がいる場合は,我慢せず,早い段階で弁護士に相談し,中長期的に対応を検討するのがお勧めです。


【企業法務・労務】台風など自然災害で出勤できない場合の給与は支払う必要があるか?雇い主に責任がある場合は?

2018年9月5日

台風や地震など,自然災害が原因で従業員が出勤できない場合や,会社自体を休業せざるを得ない場合,従業員の給与は,支払う必要があるのでしょうか。
雇用契約書や,就業規則に定めがある場合はそれによりますが,それらが無いか,明確な定めがない場合,民法や労働基準法の適用を受けることになります。
民法536条は,次のように定めています。

第五百三十六条 前二条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

これにより,自然災害など,雇い主の責任でも,従業員の責任でもない休業の場合には,民法536条第1項により,給与を支払う必要はありません。
他方,雇い主の責任による休業の場合には,民法536条第2項により,給与を支払う必要があります。
もっとも,民法536条2項は,いわゆる任意規定とされており,当事者間の合意により適用を排除できます。ですから,雇い主と従業員が合意すれば,同条項の適用を排除し,雇い主の責任による休業の場合でも給与を支給しないとすることができそうです。
しかし,雇い主の故意や過失による休業の場合に,給与の支払い義務を免除するという特約は,公序良俗に違反し,無効となる可能性があります。
また,労働基準法には,次のような規定があります。

第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

生産設備の故障などにより,休業を余儀なくされる場合,就労させていないにも関わらず給与を支払うというのは,休業によって収入も断たれる雇い主にとって酷です。他方,従業員の生活の糧も確保する必要がありますから,就業規則や雇用契約により,使用者の責めに帰すべき休業等の場合には,平均賃金の60%の休業手当を支払う旨を定めておくのが望ましいでしょう。
貴社の就業規則や雇用契約書はどうなっていますか?一度ご確認を。


【交通事故】接骨院による不正請求

2018年7月6日

先日,相談に来られた交通事故の被害者の方からこんな話を聞きました。
その方は,事故後,しばらくの間接骨院に通っていました。
その接骨院は,施術をする柔道整復師の数が少なく,先客がいると施術を受けるまでに時間がかかるのですが,ある日,接骨院のスタッフから,今日も施術を受けたことにしておくので,また別の日に来てもいいですよと言われたというのです。
この意味わかりますか?
つまり,施術をしていないのに施術をしたことにして,費用を加害者側保険会社に請求するのです。そうすれば,患者さんの通院日数が増え,慰謝料が増えるので,あなたのためにやっておきますよ,というような言い方です。
しかし,接骨院の目的は,自らが診療報酬を不正に請求することにあります。また,これは,れっきとした保険金詐欺であり,そのようなことに加担すると,患者も詐欺の共犯になります。
接骨院などで,このような話をされたり,通院日数の水増しを言われたときは,絶対に断り,もう二度と,その接骨院には関わらないようにしてください。
私の経験上,交通事故の場合に,健康保険の使用を露骨に嫌がる接骨院は怪しいです。健康保険を使用すると,診療報酬が安くなるので,人情としてはわかりますが,普通は,患者から求められれば,それを拒否したりすることはありません。健康保険の使用は,患者にも過失がある場合にはメリットにこそなれ,デメリットになることは無いのですから。


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